調査日誌
地磁気異常から湖底を探る
2022年6月の調査では、小型船やボートで磁力計を曳航して磁場の大きさを測定しました(サムネイル写真)。船から磁力計を離して曳航することで、船やボートが作る磁場の影響を抑えることができます。観測した磁場データから国際標準地球磁場を引いて地磁気異常を算出しますが、まだ、それだけでは十分ではありません。地球磁場には周期的な変化(日変化など)や非周期的な変化(磁気嵐)が含まれますので、観測したデータに見かけ上の変化が現れます。これらの変化を補正するため、桧原湖沿岸に簡易的な基準点を設置し(写真2)、磁場データを取得しました(早稲沢キャンプ場の関係者のみなさまご協力ありがとうございましたm(_ _)m)。最終的に得られる地磁気異常は湖底の磁気的な特徴を反映しており、湖底面下の構造を推定することができます。

(写真2)
そうですね~、今回の調査で苦労したことは、小型船やボートをまっすぐに(想定通りに)走らせることでした。磁力計を曳航しているため低速(3ノット程度)で航走しましたが、小型船舶の操縦は低速ですと難しくなります。「〇○船長、もうちょっとちゃんと走ってもらえますか~、ヘディングが間違ってますよ~!」と何度も言いそうになりましたが(いや、言ったかもしれません)、いざ操船してみると風や水の流れの影響を大きく受けてしまい、なかなかキレイには走れませんでした(もちろん操船技術の面もありますが、湖でも風が強いと荒れます)。また、今回使用した磁力計は深海用でしたので、耐圧容器等を含めサイズが大きくなってしまいました。準備だけでも1人では大変な作業になります。今後、湖や浅海域でも気軽に扱えるサイズの磁気探査システムを構築し、沿岸や湖底の遺跡調査に適用できればと思っています。
今回は湖での調査でしたので、調査後に観測機器や工具類をしっかりと水洗いして塩抜きする必要がなかったことはいつもより楽でした!景色も綺麗ですし、ご飯も美味しかったですし、湖の調査もいいですね~。
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