水中遺跡から自然災害の痕跡を掘り起こす
1888年の磐梯山噴火と山体崩壊に伴うせき止め湖(桧原湖)の形成により被災・水没した桧原集落は、旧宿場町『桧原宿』の名残を持つ近世・近代の有形無形文化を記録する『水中文化遺産』および、火山災害の痕跡を記録する『災害遺跡』としての価値を有する。そのため、桧原集落の水中遺跡の調査を通じて、江戸・明治の産業・文化・物流の理解だけでなく、山体崩壊に伴い約500名もの住民が亡くなった災害メカニズム、せき止め湖の形成過程、および水没による高台移転(避難)の過程という自然災害の総合的な理解につなげられる。そこで本研究では、文理融合の研究グループを実現し、桧原宿跡を対象に(A)石造物などの『水中遺物』と石垣などの『水中遺構』を対象とした考古学的な調査、(B)湖形成開始後から堆積した『湖底表層堆積物』の物質科学的な分析、および(C)水中音響機器を活用した湖底地形情報と底質の広域的な空間分布調査を実施する。
【本研究から期待される研究成果・アウトプット】
- 将来、未知なる自然災害を水中遺跡の調査から明らかにできるー自然災害への予防
- 水中遺跡の調査方法のプロトコル化と学術的な水中遺跡調査の普及
- 考古学と自然科学と災害科学の連携強化による新たな学際領域の開拓
- 水中遺跡のミエル化(学術調査結果の紹介や展示)による学術・観光資源活用の検討
本研究は文科省科研費基盤A「
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