調査日誌
桧原湖日記【高知編2:2024年10月17日】
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早々にサンプリングを終えたので、空き時間に別の作業を進めることとなった。
私に割り当てられたのは、磁化率の測定である。
昨日までせっせと準備していたキューブの出番である。
タイムショック、あるいは宇宙飛行士の訓練用のぐるぐるかき混ぜられる機械にキューブは乗り込み、機体は箱の中に送られ、1分半ほどして無事生還した。
そしてこの作業をあと200回とちょっと・・・
取り替え時間も含めて1個2分かかるとして、単純計算で7時間とちょっと必要だ。
苦行である。
装置の扱い方を教えてくれた松本さんは、苦行まっしぐらの私を哀れみの目で見ていた。
1回が1分半という微妙な時間、かつキューブを綺麗にする作業が必要、かつスマホ持ち込み禁止というなんとも時間の使い方の難しい環境で作業をしていると、ふと、この装置が高いという話を思い出した。
目の前には、「高価なので扱いに注意してください」という紙が貼ってある。
お値段、130,000JPY。
このJPYという表記、空港かゲームでしか見たことはない。
さすがコア研だなあと妙なところに感心しながら、私はせっせとキューブの磁化率を測っていたのだった。
昼過ぎ、磁化率測定から解放され、コアを読み解ける方の観察を見学した。
アーカイブコアを持ち出して、手触り、見た目、CT画像などからどういう層なのかを読み解いていく。
とあるコアに泥→砂→泥の順番で堆積した層があった。
その砂層のトップは真っ平らであり、自然に出来たものではないと考えられた。
しかし、その上下には泥の層があるのである。
人工的に均された砂層であるならば、磐梯山噴火前なのではないかと思うが、上下に泥の湖底堆積物のような層があるために、判断を難しくさせていた。
謎である。
大きいタイム風呂敷を桧原湖に被せて逐一何が起こったのかを知りたいものである。タイムマシンでもいい。